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この計画は、K・Kの心配をよそに、大方の成功を見たことは
以後の雑誌記事などによって、いまさら説明の必要は無いだろうと思う。
その後にいきさつは、ご存知のとおりである。


とにかく、女性の膣内に薬物を挿入して前後不覚にさせ、
女性を自分の意のままにして、いわば性的玩具のようなものにする。
あるいは前後不覚にさせて仲間と輪姦する・・といったシチュエーションは、
エロ雑誌の定番のネタであることからもわかるとおり、
それが事実かどうかは問題ではなく、ただ、そうありたいという願望、
そして、その需要が、世間にどれだけあるか・・・
それのみが問題であった。事実かどうかなど、どうでもよいことであった。


いわば、あのとき、
マスコミ記事を見たすべての人間が、妄想に浸っていたわけである。
普段なら、その対象が、エロゲームの登場人物、あるいは小説の主人公であり
そして表だってはなされず、陰に行われるものであるものが
今回に限って、実在の人物であり、そしてマスコミで表だって行われた。
それだけが違うところであった・・ということである。
いわば表だったエロゲー、エロ小説というべきものだったというわけである。


しかし、これだけのことが、
何の批判も無く、マスコミをつかっておおっぴらに行われたということは、
海外メディアに、日本のマスコミの異常さを存分にさらけ出すことになり
これ以来、海外の人々は、日本発の情報をまったく信用しなくなるようになる。


皮肉なことに、あまりものH末叩きによって、
日本発の情報は、かえって信頼性を落とすことになり
海外では、バーニングの強力なマスコミパワーが減殺されてしまったのである。
証拠に、韓国等、アジア諸国ではあれ以来、かえってH末の人気は上昇している。


ちょうど
Summer Snowなどの佳作ドラマが放映される時期であったという理由もある。
なにぶん彼らは、ドラマの質しか興味は無いわけだ。
しかし、もっとも大きな理由は、前述した、日本発の情報の信頼性低下による。


日本発のソースなど、信用置けない。どうせロクなもんじゃない
と、まったく信用せず、
自ら日本に赴いて確かめてみないと気がすまない・・
こういう傾向が出てきたのである


信頼性も何も、そんなくだらない日本発の情報など、
現地のマスコミは母国語に翻訳する気にもならないだろうし、
結果、一般市民は読みもしないだろうし、
またたとえ翻訳してメディアに流したとしても、
まったく興味を持たないだろうと思われる。


とにかく、こんな騒動は、たとえ大金かけて行われようが、
海外では、まったく意味のないことであった。


海外で、日本でいう東スポのような新聞があったとしても、
誰がいちいちその記事を翻訳して、メディアに流そうとするだろうか?
それと同じことである。


証拠に、H末が叩かれて第一線を退いた以後
彼女と入れ違いとばかりに、メディアで散々一押しされた
”癒し系”と呼ばれた一連の女優達など
海外メディアではまったく相手にされなかった。

当たり前といえば当たり前で、彼女達は、日本でいくらちやほやされようと
彼らが興味の持てるコンテンツを何一つとして持っていなかったのだから。





また、トルシエベッソンなど、日本で仕事をし、
日本メディアの胡散臭さを散々経験し尽くした者たちは
某宗教団体、あるいは某半島の社会主義国家と
芸能界、スポーツ界との黒いつながりについて、
母国のマスコミで明らかにしてしまっていた。


日本ではとてもじゃないがいえないことだが、
海外までは、情報遮断は通用しない。
彼らによって、日本マスメディアも、ボロが出てきたというわけである。


日本代表選考における落選した選手と、その背後にうごめく、某宗教団体の影
H末の場合も同様に、例のフランス映画に抜擢の件と
海外進出に遅れをとってしまった、バーニングの焦り
その背後にあるものは、おなじだというわけである。
ベッソンも、トルシエも、その胡散臭さを、敏感に感じ取っていたというわけだ。



一方



ジャンクスポーツの収録を終えたK・Kは、
スタジオの窓に佇んで己の顔に風を当てながら、
今まで起こった出来事を述懐していた。


”いったい、アレは何だったのだろうか・・”



”確かに俺は、あの時以来も、仕事は途切れなかった。
今やっている仕事も、
立っているだけでいい、何の気苦労もいらない、楽な仕事だ・・。だが・・・”



同じ頃、彼、K・Kと同じように、
混乱しながらも、己の頭の中で、今まで自分の身におこった嵐のような出来事を、
懸命に整理しようとしている人物がいた。


高井○郎その人である。



続く