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>そのころ、
井川を押す○ダッシュの○村、
長○川を押す、○ーニングの○防、ケイワンの○井も、
まったく同じことを考えていたことを、彼は知る由も無かった。


その前に、彼女を語る上で、絶対に欠かせない人物について
語らなければならない。


その”ライバル女優”は、いつも割を食らっていた。


彼女を押すヤングJ、Pボーイなどの雑誌で知られ、
彼女の牙城として知られるS英社。


反対に、ライバルであるO菜を押す、
ライバル誌である、ヤングM、写真週刊誌Fライデー、などを抱えるK談社。

これらは、互いに異なる”姫”を擁し、彼女達をグラビアや表紙にして、
それぞれ部数売上アップを狙い、しのぎを削っていた。


しかし、K談社の旗色は悪く、
S英社が彼女を表紙、グラビアにしたときの爆発的な売上増加に比べて、
O菜を表紙にしたときの、雑誌の売れ行きは、思わしくなかった。


はっきり言えば、K談社にとって、
H末とそれを抱えるS英社は、目の上のたんこぶであった。


本音では、今すぐにでもO菜を切って、H末に乗り換えたいのだが、
H末のデビュー前から、O菜を一押ししつづけ、
そしてH末がデビューしてからは、彼女に対抗心を燃やしつづけている、
結婚式で仲人を務めたほど、O菜と深いパイプのある
大先生=秋元Yなどを抱える、D通などの面子を考えれば、出来ない相談である。


あのD通が、”大先生”や、自分達の一押しするタレントを切って、
ライバルに乗り換えるなどということは、
自身や”大先生”の眼力の無さを認める、つまり負けを認めることになるからだ。


”世界一の広告代理店””大先生”のプライドが、許すはずが無い。
もちろん、S社の最大のライバルであるという、自分達のプライドも・・・
だから、O菜をあくまでもプッシュしつづけ、
H末が何らかの形で自滅することを、願うしかないのである。


O菜本人も、かなり相手を意識しているらしく、
彼女が、ある、日本最大のIT企業のキャンペーンガールに選ばれれば、
すかさず、同じような、ドットコム企業の成功者と接近し、
また、彼女が、年収の低いモデル上がりの男と婚約したというニュースを聞けば、
あてつけかのように、その、付き合っていた成金実業家と早速婚約し、
彼女との差異を、なんとかして世間に印象付けさせようとしていた。


しかし、どんなに、O菜の世間的なイメージがよかろうと、
逆に、H末が、どんなに世間的に悪いイメージをもたれようと、
彼女が、絶対にH末を超えられない壁があった


それは、彼女の、H末と比較しての、芸能界での実績のあまりもの乏しさである。


世間の人たちが誰しも知る、O菜の代表作といえるものは?
O菜が出演した、芸能至上、ドラマ至上に残る代表作は?
これらのものは、全くなきに等しかったのだ。


これでは、どんなにイメージがよく、汚れていないと言うことをウリにしても、
積極的なアピールにならない。


どんなにタレントイメージが汚れていようが、
皆が知る代表作、容易に離れない固定ファン、
こういったものを持っていないO菜にとって、不利は避けられなかったのである。


H末に邪魔されて、いままでいい役がもらえなかったのだ・・
だから、H末やF田がこの世からいなくなれば、彼女にも、大役が回ってくることだろう。


ファンは、そう自己弁解したが、
なにぶん、実際に大役をもらわないことには、負け惜しみととられるのがオチである。


上原や、松坂は、勝ち星も多いが、
ここぞという大勝負で、たくさん打たれている。
その反面、一回も、一軍で登板していない投手は、まったく打たれていない。
だから、一回も失敗していない二軍の投手のほうが、
何回も大失敗している、上原や松坂より優れているのだ・・・


そんな弁解が通用するわけが無い、それと同じことである。





そんな時、
O菜の、ニャンニャン写真流出のニュースが、世間を駆け巡った。

続く