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A美父☆どういうことだ?



あ ゆ☆若者個人にとってね、アイドルっていう存在ってのは
    脳内に存在するポジションなわけ。恋人とおなじくさ。
    一人の若者の頭の中には、”その座”が
    ひとつだけポツンと頭の中にあるわけよ。わかる?



A美父☆なんとなく、わかるよ



あ ゆ☆その”座”は、一人の頭の中に、ひとつづつあるから、
    社会全体として考えると、いつの時代にも必要とされるし、
    一個人として考えると、そんなにたくさんいらない、
    一人存在すれば、座は埋まる。ほかは入れない。

    
    総理や社長の椅子みたいなもんかな
    もっとわかりやすくたとえれば、精子みたいなもんね(笑)



A美父☆ははは(笑)なるほどなァ



あ ゆ☆反対に、だからといって、
    それにふさわしい人が今の時代に
    一人もいないからといって
    その”座”を空白にはできないのよ。


    これは、深く話すと、
    宗教とかカリスマを求める大衆心理とか
    むずかしい話になっちゃうけど
    要は、精神的な位置付けの問題なの
    簡単に考えれば、擬似的な恋愛対象とおもえばいい。



A美父☆ふんふん



あ ゆ☆とにかく、ある時期の若者にとって、
    そういうアイドルとかカリスマとかって、
    劣悪だろうが不満だろうが
    何かしら代用しなくちゃならない必須アイテムなのよ。
    精神的な”塩””米”なのよ。


    
亜美父☆精神的なよりどころであるってわけか・・
    そして、それはある時期の若者にとって
    食べ物、塩と同じく、
    いつの時代にも生きていく上で必須で
    同じくらい需要があって
    必要とされるものってことか・・なるほど。



あ ゆ☆そういうこと、だけど、そういう
    塩とか、タバコとか電力とかって
    よく”専売”されない?



A美父☆ううっ・・
    たしかに、ちょっと旧いが、
    ああいったものって、かつて
    日本専売公社とかで売ってたな。

    
    人間が生活していく上で必須なものだったり、
    あるいは必須でなくとも、需要が、時代にかかわらず
    安定している嗜好品だったりするがうえに、
    独占したいと思う輩が出てくる
    そして、自由競争がゆがめられるというプロセスか・・・


    じゃあ、うちの娘は、
    ゆがめられた市場競争の中で売り出されたわけだな、
    その、ゆがめられた市場ってのが、
    娘がいた、十代の、アイドル市場ってことか・・
    それは、正当な、自由競争の場では
    なかったといいたいんだな? 


    具体的に、あのときのアイドル市場ってのは、
    どういう風に、競争がゆがめられていたんだ?

                                                                                    • -

続く