7


A美父☆(さらに読み上げる)

                      • -

鈴木A美の能天気さは、現代社会の深い闇を写す鏡なのか?
そして彼女の後ろにいるK室哲哉という男は、
いったい何をしようとしているのだろうか・・・

                          • -

   おい、それじゃ、訊くけどな
   何しようとしてたんだ???
   k室は、うちの娘で、いったい何しようとしてたんだ?
   
記者の一人★だから、答えは読者に問い掛けてるんだって
   あんたを含めた読者に、”自分でかんがえてくれ”って



A美父☆どうせ何もしようとしてなかっただろ、K室は?


   せいぜい金儲けか、性欲処理かってとこだろ?
   どうなんだ、こたえろよ
   答えられないんなら、こんな、バカが勘違いしそうな、
   いかにも意味ありげで、大仰なこと書くんじゃないよ。


記者たち★・・・


A美父☆ウタダやH末は空虚だ、空っぽだ
   反面、A美や”も娘”はサブカルチャーの大物扱い・・
   何か、つんくと小室と、
   すごく意味ありげなことやろうとしてた・・って




   でも、今考えれば、
   その言葉に、中身なんてからきしなかったんだよ。
   みんなおまえらが、苦し紛れに考えた、
   口から出た、でまかせだったんだ。


   おまえ達、思ってもないことを、書くなよ。


記者たち★・・・


続く

6


あゆ★なんか。
   思い当たることあるんじゃないのぉ?


A美父☆実は・・
   思い当たることが、ないとはいえないんだ。
   昔、こういうことがあったんだ。


あゆ★へえ。どんなことがあったの?


<<事情を話し始める亜美父>>



・・・・・・2001 春・・・・・・



某、雑誌編集部にて。。


A美父☆おい、おまえたち!!!



くつろいでいた記者たち★
   何だ、なんだ・・?
   このおっさん。いきなり押しかけておいてなんなんだ?



記者のひとり★あのお、すみませんが
   なにかわれわれにご用でしょうか?



A美父☆俺は、鈴木A美の父だ

(そして、大声で、乗り込んだ雑誌社がかつて発行していた
   某雑誌の記事を読み上げる)

                      • -

確かに、よい曲は多い、器用に歌いこなしている。
だが、作家ばかり有名なヒロスエの作品には
彼女の真の顔が、全く見えてこない

多彩な作家陣というものが、どれだけアイドルの
存在感を薄めていることか・・

その反面、鈴木A美は、小室のプロデュースの下で
のびのび楽しんでいるようで、見ていてずっと心地よい

                      • -


   


   おまえら、これらを、本心で書いてたのか?



   じゃあ、なんでうちの娘は、いくら干されたからとはいえ
   ウタダとか広末とかELTとかいままで生き残ってる連中に比べて
   あんなにも、扱いが軽いんだ!!


   この記事の扱いから見ると、
   亜美はどうう考えても大物じゃあないのか?





   これが本当ならば、じゃあ、あれ以来の、
   マスコミの、手のひらの返しようは何だ?
   どっちがホントで、どっちが嘘なんだ?


   人間そのものの才能なんてものは、
   干されようとなんだろうと変わらない
   一定のものじゃあないのか?そうだろ?


   よく考えてみたら、
   一人のプロデュースって危険じゃないのか?
   ヒロスエみたいに多彩な作家陣じゃなくて
   小室一人にプロデュースをおんぶしてもらってたら、
   小室一人に見放されたら、おしまいだろうが・・・
   ずいぶん不安定で、リスク大きいよなあ、怖いくらいに。


   なあ、おまえたち。そこまで考えてたか?
   そこまで考えて記事書いてたのか?



記者たち★・・・



続く

5


あ ゆ☆・・・・・


A美父☆でも、これだけはいえるよな?
    あのころ、うちの娘以外にも、アイドルなんて
    はいて捨てるほどいたんだぞ、これって
    激烈な競争状態の、何者でもないだろうが?


    たしかに娘と比べて、事務所の弱い子もいたかもしれない。
    プロモーションも弱かったかもしれない。
    でも、結構、手ごわい相手もたくさんいたぞ。
    これを考えると、競争って、自由だったとしか思えない
    あんたもその一人だったんだし・・・
    

    若者たちは、そのあまたある中から
    うちの娘を選んでくれたんだ、
    このプロセスって、おかしくないだろ?
    まっとうな市場原理にのっとってるのは相違ないだろ、
    これのどこがゆがめられたプロセスなんだ?




あ ゆ☆ふうん。じゃあ聞くけどさ
    実際、あんたの娘の手ごわい相手って
    だれだったのさ?



A美父☆それは・・・




あ ゆ☆いっとくけど、
    あたしとモー娘は除外してよね


    あんなの、番組を盛り上げるための
    子供だましの茶番にしかすぎなかったんだから
    ”ガキ遣い”での、山崎とジミー大西の対決みたいなもんよ
    表向きでは、打倒しあうライバルとは銘打っても、
    持ちつ持たれつの共存関係。やらせ、宣伝よ。
    あれに、あっさりだまされるようじゃあ素人よ
    わかってるわね?



A美父☆それくらいはわかっているさ



あ ゆ☆まあ、それくらいわからなけりゃ
    あんた、今まで何してきたんだってことになるね。


    それとさあ、


    娘の手ごわいライバル連中が
    圧迫を受けてたとは思えないっていったけどさ、
    それ本当?なんとなく、
    思い当たる節があるんじゃないのぉ?



A美父☆それは・・・・・

                                                                                    • -

続く

4


A美父☆具体的に、あのときのアイドル市場ってのは、
    どういう風に、競争がゆがめられていたんだ?



あ ゆ☆あんたの娘の歌が、聞くに堪えないひどいシロモノで、
    誰一人、それに満足できていなくとも、  
    それに代わるものが、市場に出回っていなければ、
    消費者はそれをいやいや買うしかない・・

    
    ということは・・  
    あんたの娘以上の実力を持った者が、
    この世に一人もいなかったら・・・
    あるいは何らかの圧迫をうけて、
    市場に出て行くことができなかったら・・


    あんたの娘みたいに、どんなにひどいシロモノであろうと
    売れたってことね。
    うんこ味の食べ物がどんなにまずくとも
    市場にそれしか無ければ売れるようにね。



A美父☆おいおい、いくらなんでも、
    それは事実と違いすぎるぞ
    うちの娘の競争相手が、いつ圧迫受けたんだ?


    私が言うのもなんだが、
    娘に勝る子達なんて、同時代にはうじゃうじゃいたぞ。
    その子たちがみんな、娘を売り出した事務所に
    圧迫受けてたなんて、とうてい思えないし・・・


    ファンは、あえてそれを蹴って
    私の娘をチョイスしてくれたわけだから



あ ゆ☆あのねえ。それも、そう見えるだけで錯覚・・まあいいや
    いちいち突っ込みたいところだけど
    きり無いからやめとくわ、次ぎどうぞ


    

A美父☆だから、やっぱり、
    娘には、実力では劣ってはいても、
    人を引きつける、”キラリとしたもの”が
    何かしらあったんだよ。これは間違いない。



あ ゆ☆あァ我慢できない、突っ込むよ

    
    ちょっと、ココまで説明して
    どうしてそんなことがいえるわけ?
    どうして間違いないっていえるの?断言できるの?
    あくまで、主観でしょそれって。しかも身内の



A美父☆そうか・・・たしかに。父親である私は、
    精神的に、バイアスがかかってるかもしれない。


    事務所の力があるていどあったっていうのは
    私も認めてることだし・・。


    だけど、多くの若者が
    数あるアイドルの中から、
    私の娘を選んでくれたっていうことは
    やはり、娘に何かしらの売れる要因が、
    あったとしか思えないんだ。


    技術とかそういいうもんでなくオーラとかさ、
    こういうのってうまく説明できないんだけど・・
    あんたの言うように、精神的なものだから、
    何とでもいえるって言われればそれまでだけどさ、


    でも、そのあやふやなもんってのが、
    実際、娘が売れたという事実によって、
    客観的に証明できたと、こういいたいんだよ俺は。


    これで、主観だ何だって言われてることが
    客観的な存在へと転化できたわけだ。
    娘が売れたという
    動かしようの無い事実によってさ・・

 
    ああ、こういうのって駄目?
    やっぱり、あんたは無理やりな論理付けっていうのか?

あ ゆ☆・・・・・

                                                                                    • -

続く

3


A美父☆どういうことだ?



あ ゆ☆若者個人にとってね、アイドルっていう存在ってのは
    脳内に存在するポジションなわけ。恋人とおなじくさ。
    一人の若者の頭の中には、”その座”が
    ひとつだけポツンと頭の中にあるわけよ。わかる?



A美父☆なんとなく、わかるよ



あ ゆ☆その”座”は、一人の頭の中に、ひとつづつあるから、
    社会全体として考えると、いつの時代にも必要とされるし、
    一個人として考えると、そんなにたくさんいらない、
    一人存在すれば、座は埋まる。ほかは入れない。

    
    総理や社長の椅子みたいなもんかな
    もっとわかりやすくたとえれば、精子みたいなもんね(笑)



A美父☆ははは(笑)なるほどなァ



あ ゆ☆反対に、だからといって、
    それにふさわしい人が今の時代に
    一人もいないからといって
    その”座”を空白にはできないのよ。


    これは、深く話すと、
    宗教とかカリスマを求める大衆心理とか
    むずかしい話になっちゃうけど
    要は、精神的な位置付けの問題なの
    簡単に考えれば、擬似的な恋愛対象とおもえばいい。



A美父☆ふんふん



あ ゆ☆とにかく、ある時期の若者にとって、
    そういうアイドルとかカリスマとかって、
    劣悪だろうが不満だろうが
    何かしら代用しなくちゃならない必須アイテムなのよ。
    精神的な”塩””米”なのよ。


    
亜美父☆精神的なよりどころであるってわけか・・
    そして、それはある時期の若者にとって
    食べ物、塩と同じく、
    いつの時代にも生きていく上で必須で
    同じくらい需要があって
    必要とされるものってことか・・なるほど。



あ ゆ☆そういうこと、だけど、そういう
    塩とか、タバコとか電力とかって
    よく”専売”されない?



A美父☆ううっ・・
    たしかに、ちょっと旧いが、
    ああいったものって、かつて
    日本専売公社とかで売ってたな。

    
    人間が生活していく上で必須なものだったり、
    あるいは必須でなくとも、需要が、時代にかかわらず
    安定している嗜好品だったりするがうえに、
    独占したいと思う輩が出てくる
    そして、自由競争がゆがめられるというプロセスか・・・


    じゃあ、うちの娘は、
    ゆがめられた市場競争の中で売り出されたわけだな、
    その、ゆがめられた市場ってのが、
    娘がいた、十代の、アイドル市場ってことか・・
    それは、正当な、自由競争の場では
    なかったといいたいんだな? 


    具体的に、あのときのアイドル市場ってのは、
    どういう風に、競争がゆがめられていたんだ?

                                                                                    • -

続く

2


A美父☆・・・・
    仕方なく買うだろうな。ほかに入手手段が無いんだろ?
    背に腹はかえられないしな。飢え死にはしたくないしな。




あ ゆ☆それと同じことよ
    あんたの娘も、ほかに選択手段が無かったから
    みんな仕方なく買ってた商品なんだよ



A美父☆おい
    うちの娘は、うんこ味の食べ物だったっていうのか?


    おいおい、消費者の若者たちって
    あみ以外の、ほかのアイドル手に入らなかったか?


    それと、不満だったら買わなきゃいい話だろうが。
    あと、前に言ったけど
    わざわざ自分の足で店やチケット屋に足運んで・・って
    それって、モロ自由な消費行動だろう


    それに、食べ物と違って、無かったら死ぬわけじゃなし。



あ ゆ☆ある意味、ある一時期の若者にとって
    アイドルなんて食べ物と同じなんだよ


   
A美父☆どういうことだ?





続く

1

A美父☆今日は、あんたに聞きたいことがあるんだが・・・



あ ゆ☆何?



A美父☆会う人会う人が、うちの娘が売れてたのは、
    メディアや事務所の力だったって、だから
    あれはまったくの虚構だったっていうんだ。
    おまえたち親子は、はめられただけなんだって
    
    でも俺は納得できないんだよなあ。

    
    娘のCDが、あれだけ売れたり、
    武道館を、満員にしたりしたことは
    明らかな事実であるわけで。


    いかに、娘を売り出す際に、
    事務所の力がおおきかったとはいっても
    才能やカリスマ性の全くなかった人間が、
    実際、自分以外の力だけで、
    あそこまではいかないと思うんだよなあ



あ ゆ☆曲がりなりにも、鈴木A美個人にも、
    何らかの売れる要因があったから、
    あそこまでいけたっていうこと?

    

A美父☆そう。
    それまでも虚構だったというのならば
    いったい、どこから虚構で、どこまでが
    事実なんだ?さっぱりわかんなくなるよ。


    そうするとだ、うちの娘は、
    そこらへんの素人同然だったってことになる
    でも、たとえば、街歩いてるそこらへんの娘を
    つかまえて、売り出したとしてもだよ


    あみのように売れるとは、とても思えないんだ・・


    それとさ
    消費者がCDショップに向かって、娘のCDを買う
    実際、チケット買って、コンサートに足を運ぶ


    これって、どう考えても、
    消費者である若者たちが、自ら選択した
    行動だろ?強制されてないよな


    いくらなんでも、事務所が、そんな、
    消費者の、日常の自由な行動まで、
    ごり押しできないだろ。
    マインドコントロールじゃありもしないんだから。

    うちの娘の歌が、聞くに堪えないほど下手で、
    誰一人、娘に満足しちゃあいなくて
    カリスマ性も、これっぽちもなかったならば
    じゃあ、なんでファンは
    好き好んで娘のCDを買ったり、コンサート行ってたんだ?


    到底満足できないシロモノならば、
    その商品を、買わなきゃいい話だろうが
    現に、若者たちは娘のCD買ってたんだ、
    その事実までも否定できないだろ?


 
あ ゆ☆素人はこれだから・・・(呆れる)



A美父☆やっぱり否定しないんだな。


    やっぱり、娘の、ASAYANとかの売り出しって
    マインドコントロールみたいな
    シロモノだったってのか?それとも・・・


    どうだろう、あんたの口から、
    そこのところのからくりを
    詳しく教えてもらいたいんだが。。。いいかな?



あ ゆ☆あのねえ。



A美父☆企業秘密なんていわれたらおしまいだけど・・
    そんなこといわないよな?



あ ゆ☆わかった。
    何から話せばいいかな・・・



    あの、たとえばだよ・・
    もし、うんこみたいな味で
    ものすごくまずくて、値段バカ高くて
    普通、そんなもの買わないで、ほかの食べ物買うでしょ?



A美父☆あたりまえだ。



あ ゆ☆でも、それしか世の中に無かったとしたら・・・

                                                                                    • -

続く